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森乃あさ 

Author:森乃あさ 
児童文学を書くことが好きな、人に言わせると、
まめなB型。そして山ガール。
最近、ハーフマラソンはじめました。

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珈琲屋の人々

本

「珈琲屋の人々」  ちっぽけな恋
          池永 陽  双葉文庫

「珈琲屋の人々」の続編。

珈琲屋にやってくる人を主人公にした連作短編集。


目次

特等席
左手の夢
大人の言い分
ちっぽけな恋
崩れた豆腐
はみだし純情
指定席

 ~感想~ネタバレご注意

短編のストーリーのラストがどれもいい。
ぐっとくるものもあれば、予想外の驚くような終わり方も。


特に好きなのは「左手の夢」。

行介と同じ時期に刑務所にお世話になっていた
50代の男が主人公。
茂造は行介の珈琲屋へ現れる。
貧相な顔と体つきの茂造は刑務所内でよくいじめにあった。
柔道で鍛えあげた筋肉質の行介がかばってやっていた。

いじめの理由は「俺の自慢は、黄金の左手……」と貧相な
茂造が大口をたたくからだ。
元々は時計職人だった茂造は、玄関ドアや金庫のカギを
あけるのはお手のもので、窃盗でなんども捕まっていた。

そんな茂造を奥さんの君代はいつも待ってくれていた。
でも今度は君代にも考えがあった。出所したら必ず行介の
所へ行くに違いない、行介に頼んで、ひと芝居打ったのだ。
寄せ木で作られた箱根細工の箱に守り袋を入れて。

「お父ちゃんがこの箱に仕事を受けるかどうか賭けたように,
私もこの箱に賭けたんだ。もしお父ちゃんがこの指輪を
覚えてないようだったら、もう別れようって。一人で生きていこう
って」

茂造はまたも窃盗の仕事を受けようとしていた。寄せ木の
箱が開いたら。
けれど器用な茂造がどうやっても開けることが
できなかった。
君代は開けて欲しかった。開けて中身を見て欲しかった。
見かねた君代がヒントを出した。簡単に箱は開いた。
行介の箱だから、中身は見るわけにいかない。

行介の珈琲屋に窃盗の仕事を頼んだ二人組、
君代、茂造、そして行介。
行介が二人組を追い払い、君代がひと芝居を
打ち明ける。
守り袋の中、そこに入っていたのは、結婚指輪。

「黄金の左手は返上して、今日からはプラチナの左手。
奥さんのために、一生懸命働いてやってください」
と、行介は言う。

このラストの3行。

 いつもとはどこか違っているような気がした。
皺の寄った顔に目をこらした、唇だ。君代の唇には
薄く紅が引かれていた、こんな君代を見るのは何年ぶりの
ことなのか。
 途方もなく美しい赤だった。


副題に「ちっぽけな恋」とあるように恋バナが集結している。
50代ばかりじゃない、中学生の恋もある。
そこに行介がかかわっていく。

この文庫本の解説(吉田伸子 書評家)にこうある。

 誰のせいでも、何かのせいでもないのに、時として悪い巡り
合わせに入りこんでしまい、そこから抜け出すことが出来ずにいる。
本書に出てくる人々は、そんな人たちでもある。みんな不器用で、
みんな必死だ。必死だから誤ちを犯しそうになる。
自棄になってしまいそうになる。道を踏み外しそうになる。
だから彼らは行介の店にやって来る。
ぐらぐらする心を抱えながらも、彼らは何とか踏みとどまりたい
のだ。行介の側にではなく、こちら側に。



今作も前作同様、冒頭の「特等席」に、最終話の
「指定席」が呼応する。
そして、「珈琲屋」に来る客たちのドラマが縦糸で、行介と
冬子のドラマが横糸。(解説より)
その構成がとてもよく、だからか、この本の世界にすーっと入っていける。
珈琲屋を舞台にした本は多いと思うが、筆頭にあげたいし、
池永 陽さんの他の本も読んでみたい。

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