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プロフィール

森乃あさ 

Author:森乃あさ 
児童文学を書くことが好きな、人に言わせると、
まめなB型。そして山ガール。
最近、ハーフマラソンはじめました。

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スパイクル

本

「スパイクル」      ランナー2
              あさのあつこ
              幻冬舎

~あらすじ~ ネタバレご注意

 高二になった碧李は、五月の大会の5000m走に出場する。
小一に入学した杏樹は、父のもとではなく、母と碧李との暮らしを
選んだ。落ち着いたように見えた。
 碧李は走ることに専念していた。大会では、清都学園高校の
三堂選手との一騎打ちとなった。けれど、碧李は決して抜きさる
ことはできなかった。自己最高タイムをたたき出し、秋の大会の
切符を手にし、三堂との戦いが始まる。


~感想~

・ランナー1では走らなくなった主人公が走るまでを描き、
2では、陸上大会に出場し、ライバル出現。
・競うシーンは、力が入る。碧李と三堂は互いに背負っているもの
がある。三堂が背負っているものはなにか。
・女子マネージャーは春の大会を機に引退だ。監督への想いは。
・杏樹をとても魅力的に描いている。心の傷を癒せるまま、杏樹になにが
起こるのか、次が楽しみだ。

ランナー

本

「ランナー」       あさのあつこ
              幻冬舎

~あらすじ~ ネタバレご注意

 高一の加納碧李(あおい)は、10000mレースで惨敗し、
複雑な家庭環境を理由に陸上部を退部した。
けれど、本当は違った。走る恐怖、、あの惨めさをあの苦痛
を味わいたくなかった。
 陸上部に復帰した碧李は、再び、秋の10000mの大会で
勝つために走りはじめた。


~感想~

・あさのあつこさんの小説を初めて読んだ。
豊田市の図書館では、YA(ヤングアダルト)ではなく、
大人の小説に分類されていた。
・高一を主人公にしているわりには、難しい表現があると思ったし、
心理描写が大人のよう。特にマネージャーが監督への想い。
・問題が多い。
母親の幼児虐待はリアルに描かれている。主人公が抱えている
ものが大きすぎる。高一がそこまでできるのかと思う。
また、マネージャーの家庭環境も波乱がありそうだ。
・監督、クマ先生、友人のノブが碧李を支えている。復帰した
碧李に対して若干のいじめも描かれているが、陰湿でないのが
救われる。(碧李の言い訳しない、ごまかさない性格にもよる)

「長距離は好きだ。走り、走り、走り続けていくうちにあらゆるものが、
剥離していく感覚が好きだ」
この表現がいいなと思った。

珈琲屋の人々

本

「珈琲屋の人々」
       池永 陽   双葉社

珈琲屋に集まる人々を主人公にした短編連作集。

目次

初恋
シャツのぬくもり
心を忘れた少女
すきま風
九年目のけじめ
手切金
再恋

~感想~ネタバレご注意

冒頭の「初恋」に、最終話の
「再恋」が呼応する。
シリーズの1作目だが、この構成は三冊とも同様。

初めにシリーズ3から読み、2、と続き、今回
シリーズ1を読んだ。
主人公 行介が父親の珈琲屋を継いでいる。
アルコールランプの炎を見ているシーンから始まる。

行介が人を殺したシーンが登場。
(シリーズ3、2を先に読んでいるので、こういう場面なのか
思った)
行介と冬子のゆるがない愛情、島木の女癖の
悪いところなど、このシリーズで納得する。

このシリーズで一番印象的だったのは、
「すきま風」
寝たきりの介護をしている60代後半の誠実な男が
恋に落ちる。家の中は糞尿のにおいが漂っている。
その匂いのは、自分が世話を怠っていることにもなる。

週に2度のやすらぎ。
友人たちとのカラオケだった。その中に恋した50代前半の
女性がいた。
片思いだと思っていた女が実は自分に好意をもっていた。
その女性にのめり込んでいくほど、寝たきりの
妻が邪魔になる。目を開くこともあまりない。
いつまでこの状態が続くのか。
いっそ……。

ラストが強烈だった。

12歳に乾杯!

本

「12歳に乾杯!」
    吉田道子・作   佐竹美保・絵
    国土社

~あらすじ~ネタバレご注意

小6の朝子の父は、染色。母はカウンセラー。
それぞれ夢がある。
食べていけないじゃないと喧嘩の日々。
三人家族の家の中は暗い。

同じクラスの雄介の両親は離婚していて、
母と妹と三人暮らし。でも明るい。

夢を追うことを選んだ両親は別れることになり、
とりあえず、3年間、朝子は父の実家で暮らす。
小学校卒業の日、雄介、島くん、容子たちとは
別々の中学へ行くことになる。

~感想~

病気で2年遅れている島くんの夢は木の実の美術館を
作ること。
葉や木の実、自然描写がいい。

松ぼっくりが一個のっかっている牛乳瓶。
それは湿度計。
晴れた日は、松ぼっくりのうろこが一枚一枚広がり、
しっかり乾いているから落ちない。
甘の日の松ぼっくりは、湿気を含んでうろこを閉じ、
瓶の底に落ちる。

教室の後ろにそんな牛乳瓶をおいている男子って
すてき。
鳥の名、木の実の名、沢山知っている男子、いいなと思う。

両親の離婚に悩む気持ちが切実に描かれている。
朝子の揺れる心を支えたのは、雄介たち。
どうしようもないことで悩み、今がある。
雄介の母も、島くんだってきっと。
悩み、考え、聞いてくれる人がいて、話してくれる人がいて、
なんとかやっていける。
つまづいていないで。まわりに目を向けて。
若木のような12歳のまぶしさを感じた。

ヤマトシジミの食卓

本

「ヤマトシジミの食卓」
           吉田道子     大野八生  画
           くもん出版
2010年『ヤマトシジミの食卓』で第51回日本児童文学者協会賞受賞。

~あらすじ~ネタバレご注意

もうすぐ夏休みというある日、
小3のかんこは、空き地のひらたい大きな石に
すわっていた老人と出会った。
にいちゃんは犬を拾ってきて「マフィア」と名付け、
かんこにはさわらせてくれない。
夏休みになると、かんこにとってただひとりの友だちの
ともちゃんが引っ越す。
かん子にとって、おもしろくないことが続くときだった。

そのおじいさんは「マフィア」に似ていた。
おじいさんは風助さんと言った。
風助さんは左足をくじいていた。
かんこはにいちゃんがマフィアを拾ってきたように、
おじいさんを家に連れて帰った。

突然、見知らぬおじいさんが家にいて、驚く家族。

にいちゃんは死んだおじいちゃんだと思っていたし、
おとうさんは、死んだおじいちゃんのつもりで、
おかあさんも、マフィアもいっしょに暮しはじめた。
なにも聞かずに。

足がよくなると、風助さんは家からいなくなった。
あるときは、かんこに出会った空き地の石の上にいた。
かんこは、ともちゃんが引っ越してしまうさびしさを
話すと、風助さんは「またあえるさ」といい、
「あしたは、いつだって、かんこの味方だ」と
不思議な呪文をつぶやいた。
どこからか元気の出る呪文だった。
そして、風助さんはかんこが生まれる前の
この空き地の近くに小さな川が流れていて、
カワウソがいたことなど話してくれた。
すっかり変わってしまった自然。
「かわらないものは、ここの、この石」
それはヤマトシジミの食卓だと言った。
石のそばにはカタバミがあり、ヤマトシジミという
蝶がカタバミ目当てにやってくる。
だから、この石は、ヤマトシジミの食卓。

風助さんがまたいなくなり、一週間がたった。
空き地に行くと、ヤマトシジミの食卓に
かおと言う同じ年の少女がすわっていた。
よくわからないことをいう不思議な少女だったが、
なぜか気が合い、かんこは友だちになった。

夏休みも終わり、秋も終わり、風助さんは花火を
沢山持って戻ってきた。ヤマトシジミの食卓で
おにいちゃんや友だちのかおと四人で花火をした。

風助さんはときどきなくなり、しばらくすると帰ってくる。
おとうさんに言われたように、いなくなるときは、
短い書きおきをしていくようになった。
戻ってくると、かおも一緒にヤマトシジミの食卓で
いろんな話をしてくれる。
風助さんがきて、一年近くたち、かんこも四年生になった。

5月の連休の頃、風助さんは出かけたまま、戻ってこない。
夏休みになり、かおと一緒に捜すことにした。
この空き地の近くの家を回る。
すると、風助と言う人は知らないが、あの空き地に住んでいた
八木千吾なら知っていると言う人がいた。
その人と風助さんは似ているようだった。

風助さんがいなくなり、四年生の三月、
風助さんが死んだと言う便りがきた。
手紙を出した人は、亀井さんと言う法律上の
手続きをする人だった。
風助さんは、やはり八木千吾さんだった。

風助さんの正体を知ることになる。
風助さんは、かんこに拾われてうれしかったと、
あの石の上での思い出、足をくじいて出会えた
ことを幸運だったと綴ってあった。

ヤマトシジミの食卓とあの空き地は、
風助さんからかんこへ送られた。

そこでかおと、グレープフルーツ、レモンなど
をかじる。
かんきつ類を植えて、蝶をいっぱい集める。
カタバミの葉にはきっとタマゴがぎっしりだろう。
それが全部ヤマトシジミになる。
二人は春のにおいをたっぷり吸いこみながら、
力が体の底からわいてくるのを感じた。

あしたは、かんこの味方だ!


~感想~

なにが起こるか分からない。
おにいさんが犬を拾ったように
風助さんを拾って家に連れてきたかんこ。

家族のいない、さびしい人生の末に
風助さんの前に現れた少女。

父への後悔に胸を痛めるおとうさんの
前に現れた風助さん。

生きている限り、なにが起こるかわからない
のかもしれない。

人間関係がいい方に向いている。
だからここちいい話になっていると思った。

見知らぬおじいさんを家に住まわせるところは
あり得ないと思いながらも、
この本は字が大きく、123ページほど。

少女とおじいさんのつながり、おじいさんが話す昔の話、
自然描写と、おとなも楽しめるけど、子どもたちが
読むといい。

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